「うちは関係ない」——倒産の話になると、多くの経営者がそう思います。でも、データを見ると状況は楽観できません。
この記事では、帝国データバンク・東京商工リサーチ・中小企業庁の最新データをもとに「会社の倒産の実態」を正直にお伝えします。そして「なぜ倒産するのか」「どうすれば防げるのか」を経営者の視点で整理します。
2025年の倒産件数:12年ぶりに1万件超え
帝国データバンクの発表によると、2025年の全国企業倒産は1万261件(前年9,901件、3.6%増)となり、4年連続で前年を上回り、2013年(1万332件)以来12年ぶりに年間1万件を超えました。
また帝国データバンクの2025年度報(2025年4月〜2026年3月)では、2025年度の倒産件数は1万425件(前年度1万70件、3.5%増)と、2年連続で年度1万件を超えています。
数字で見る倒産の実態
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 2025年の倒産件数 | 1万261件(12年ぶりに1万件超) |
| 前年比増加率 | 3.6%増(4年連続増加) |
| 負債5,000万円未満の倒産 | 前年比7.8%増(最多規模) |
| 飲食店の倒産 | 900件(過去最多更新) |
| 小売業の倒産 | 2,193件(2000年度以降で最多) |
「うちは大丈夫」が危ない理由
倒産した企業のほとんどは、かつて「うちは大丈夫」と思っていた普通の会社です。
帝国データバンクの「倒産リスク」分析調査(2025年上半期)によると、2025年6月時点で「高リスク企業」は全国に12万8,552社(全体の8.7%)存在しています。つまり今この瞬間も、約9社に1社が高い倒産リスクを抱えているという現実があります。
特に注目すべきは、倒産企業に占める「高リスク企業」の比率です。運輸業では73.3%、飲食料品小売業では76.6%、飲食店では69.2%の倒産企業が、倒産前から高リスク状態にあったことが分かっています。
「気づいたときには手遅れ」のパターンが多い——これが倒産の現実です。
なぜ倒産するのか:5つの主要原因
原因①:物価高・コスト増(価格転嫁できない)
食材・建材・光熱費・燃料費——あらゆるコストが上がる中、価格転嫁できずに利益率が低下し続けて倒産するケースが急増しています。
帝国データバンクの調査では、飲食店業界の価格転嫁率はわずか32.3%と全業種平均(39.4%)を下回っています。コストが上がっても「値上げしたら客が離れる」という恐怖が、じわじわと経営を蝕みます。
2026年度はナフサショックによる建材・化学品の値上がりが幅広い業種に波及する見通しで、帝国データバンクは「夏頃から倒産が急増する懸念がある」と指摘しています。
原因②:人手不足・人件費の上昇
最低賃金(全国加重平均)は2020年の902円から2025年の1,121円へと、5年間で24.3%上昇しました。さらに今後も上昇が続く見通しです。
売上が変わらないまま人件費だけが上がれば、利益は消えていきます。特に労働集約型の業種(飲食・小売・介護・建設など)への影響は深刻です。
原因③:コロナ融資の返済開始
2020〜2021年にゼロゼロ融資(無利子・無担保の緊急融資)で借り入れた資金の返済が、2024〜2026年にかけてピークを迎えています。帝国データバンクは「2026年4〜9月にコロナ借換保証の返済開始を契機とした倒産が増加する」と警告しています。
コロナ禍で一時的に助かった企業でも、根本的な収益構造が改善していなければ、返済が始まった時点で資金繰りが行き詰まるリスクがあります。
原因④:販売不振・集客力の低下
中小企業庁の「2025年版中小企業白書」でも、倒産・廃業の背景として販売不振が継続して主要因に挙げられています。特にデジタル対応が遅れた企業では、インターネット・SNSで集客できていないまま競合に顧客を奪われ続けるケースが増えています。
原因⑤:後継者不在・経営者の高齢化
帝国データバンクの2026年の倒産トレンド予測では「倒産トレンドは物価高から人手不足・経営者の病気・死亡など人的要因に移り変わっていく」と指摘されています。後継者問題は「いつか考える話」ではなく「今すぐ取り組むべき経営課題」です。
2026年はさらに注意が必要
東京商工リサーチは2026年の倒産について「一進一退を繰り返しながら増勢が見込まれる」と予測。帝国データバンクも「2026年度は倒産が増加する可能性が高い」と明言しています。
2026年に注意すべき4つのリスク
| リスク | 内容 |
|---|---|
| ナフサショック | 建材・化学品の値上がりが幅広い業種に波及 |
| コロナ融資返済 | 2026年4〜9月が返済ピーク |
| トランプ関税 | 自動車・製造業を中心にサプライチェーン影響 |
| 金利上昇 | 日銀の追加利上げで借入コストが増加 |
また休廃業・解散件数も2024年には約7万件に上っており、正式な「倒産」として表面化しない「静かな廃業」も含めると、市場から退出する企業の数はさらに多くなります。
倒産しない会社は何が違うのか
倒産する会社と生き残る会社の差は「運」ではありません。経営の仕組みの差です。
生き残っている中小企業の共通点
① コストを数字で把握している 「なんとなく利益が減った」ではなく、原価・人件費・固定費を月次で把握し、早期に対策を打てる体制がある。
② 集客を仕組み化している 特定の取引先・口コミだけに依存せず、ホームページ・SNS・広告など複数の集客チャネルを持っている。
③ 業務を効率化している 人件費が上がる環境で同じ人数でより多くの成果を出すために、AI・ツール・業務フローの見直しを続けている。
④ 価格転嫁の判断ができている 「値上げしたら客が離れる」という恐怖に負けず、コスト構造をもとに適切な価格転嫁の判断ができている。
まとめ
2025年の企業倒産は12年ぶりに1万件を超え、2026年はさらに増加する可能性が高いと予測されています。倒産するのは「経営が下手な会社」ではなく「変化に対応できなかった会社」です。
物価高・人手不足・コロナ融資返済・デジタル対応の遅れ——これらは今すぐ取り組めば対策できる課題です。
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※本記事のデータは帝国データバンク「倒産集計2025年報」(2026年1月)・「倒産集計2025年度報」(2026年4月)・東京商工リサーチ・中小企業庁「2025年版中小企業白書」に基づきます(2026年4月時点)。
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